診療所で常勤医師の確保がままならない、へき地医療の現場をどう変えたらいいのか。地方の中山間地や離島を中心に超高齢化や人口減少が進み、地域で医師や看護師が不足する中、厚生労働省は先月、へき地保健医療対策検討会の報告書を公表した。報告書は、へき地医療を「日本の近未来地域」と位置付け、「地域のコミュニティを維持していくためにも、医療の確保対策は重要」とし、へき地の医療提供体制を“死守”する姿勢を鮮明にした。検討会の議論や報告書を踏まえ、解決すべき課題や今後の見通しなどを探った。【新井哉】
「医師が亡くなったら後継者がいなくて診療所がなくなるということが、われわれの医療圏でも次々起きている」。検討会の議論の中で、委員の1人は、中山間地やへき地の現状について、こう指摘し、「看護師不足の時代に加え、いよいよ患者不足の時代になってくる」と危機感をあらわにした。
へき地医療の現場はどうなっているのか。厚生労働省が検討会に示した2014年の「無医地区等調査」の結果(速報値)では、前回の調査に比べて無医地区の数が減った。しかし、状況が改善したかといえば、そうではない。
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