火災などからの避難のために患者の介助が必要な有床診療所(有床診)や病院などに対し、スプリンクラー設備の設置を新たに義務付ける改正消防法施行令などの施行まで1年を切った。新たに建てる建物への適用は2016年4月だが、既存の建物には25年7月の適用となる。医療機関の火災対策を急ぐ厚生労働省は補助金を確保。初年度は、夜間に職員が1人になることの多い有床診に補助金が配分され、地域の有床診ではこれを活用したスプリンクラーの設置が進む。設置工事などによる診療への影響はないのか-。その現場を取材した。【丸山紀一朗】
「スプリンクラーの設置工事をしている間は、おそらく入院患者を入れられないので、有床診の経営を直撃することを考慮してもらいたい」-。患者ら10人が死亡した13年10月の福岡市の有床診火災を受け、対策を話し合うために総務省消防庁が設置した検討部会では、会合のたびに、委員からこうした懸念の声が上がった。全国有床診療所連絡協議会や日本医師会の委員は、有床診の3割が赤字で厳しい経営状況にあるとし、政府に財政的な支援も求めていた。
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