日本理学療法士協会(半田一登会長)は、通所リハビリテーションと通所介護の今後のあり方を検討するための調査を実施し、9日に結果を公表した。リハ職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)を専従で配置する通所介護事業所は、専従配置していない事業所に比べ、利用者の日常生活自立度が改善する割合が高い傾向が見られた。【大戸豊】
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調査は2014年度の老人保健健康増進等事業として行われた。対象は全国の通所リハ事業所1500施設(623施設が回答、有効回答率41.5%)、通所介護事業所3000施設(1082施設が回答、同36.1%)で、調査期間は14年7月25日-8月10日。
通所介護事業所に、利用者の日常生活自立度の変化について尋ねたところ、専従リハ職がいる事業所(1職種、2職種以上)では、「要支援1-2」の利用者では30%以上、「要介護1-5」では28%程度の改善が見られた=グラフ1=。
同協会では、専従配置されたリハ職が、利用者に専門的な評価を行ったり、日常生活における具体的なゴールを設定したりしながら、継続的にフォローすることによる効果が表れているとみている。
グラフ1 日常生活自立度の変化(リハ職の配置状況別)
「医療・介護のリハビリテーションサービスの利用履歴に応じた、自立支援に資するこれからの通所サービスの在り方に関する調査研究事業」報告書より(グラフ2、3も同様)
■インフォーマル活動への参加支援、人手が足りず
このほかにも、地域ボランティアを活用しているのは、通所リハビリテーション事業所で51.0%、通所介護事業所では55.5%に上り、地域と連携している姿が浮かび上がってきた。その一方で、住民主体(インフォーマル)の活動に、利用者を参加させるための支援の実施については、それぞれ15.2%、19.4%にとどまっている=グラフ2=。
地域活動への参加支援に向けた課題として、最も多く挙げられたのは「人手が足りない」(通所リハ60.5%、通所介護53.5%)であり、次いで「利用者が参加できるような地域活動の情報を得る機会が少ない」(49.0%、40.5%)だった=グラフ3=。
利用者が地域活動に参加できるようにするには、専門職がチームとなり、継続的に対応しなければならないケースも多いことから、人手不足は大きな課題であるほか、利用者を地域活動に結び付けることができる人材の育成も求められている。
グラフ2 通所サービス事業所との連携状況
グラフ3 利用者の地域活動への参加支援 課題
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