災害現場で不可欠なトリアージや負傷者の搬送方法などの技術、対処方法を“伝授”する研修会、地域社会の多種多様なリスクを把握する研究会といった災害医療の「すそ野」を広げる取り組みが注目を集めている。阪神大震災、東日本大震災など大規模災害の教訓や現場で得られた知見を盛り込んでおり、「実践的な災害医療で役立つ」と医療従事者、ボランティアらから高い評価を得ている。東日本大震災から4年を迎えた今日、災害医療に何が必要とされているのか。現場の取り組みや課題を探った。【新井哉】
「すべての段階で分からなければ赤にしてください」。先月26日に東京都立広尾病院で行われた災害医療研修。救急・災害医療に詳しい丹正勝久・東京臨海病院長が救命処置練習用の人形を使ってトリアージの方法などを説明した。
今回の講義は、通年で行われた災害医療研修の総まとめとして、災害発生時から一次トリアージ、災害現場や救護所でどのような対応を行うのかを参加者が考えるのが目的。参加した医師や看護師ら約40人を前に丹正病院長は、救急医療と災害医療の違いや、二次トリアージ、気道、呼吸や循環の確保といった救護所での医療、クラッシュ症候群の診断、対処法などを解説した。
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