埼玉県摂食・嚥下研究会はこのほど、与野市内で講演会を開催した。この中で、看護師の立場から、患者が「食べること」を支える連携について考えるパネルディスカッションが行われた。県内の病院に勤務する3人の摂食・嚥下障害看護認定看護師が、超急性期からの摂食・嚥下リハビリテーションの方法や、急性期病院から回復期リハビリテーション病院への連携の在り方、在宅でも口から食べるためにリハビリを継続する方法などについて話し合った。【大戸豊】
奥田氏は例として、くも膜下出血で手術を受けて数日の患者の場合、生命の維持を最優先しつつも、同時に摂食・嚥下訓練に向けた基礎づくりも進めることがあると言う。口腔ケアでは、口腔内を清潔にして細菌数を減らすほか、フェイスマッサージで筋緊張を緩和したり、口唇、ほお、舌の他動運動を行い、廃用を予防したりするなど「食べるための口を準備する段階」でもあるという。また、意識レベルが低い場合は、同時期に覚醒に向けた援助も行う。バイタルサインに異常がなければ、口腔ケアや整容の際に積極的にベッドアップしたり、健側の抑制を外して看護師が介助しながら、歯ブラシなどをしてもらったりするという。
同院では、看護師のスキルアップと口腔ケアの重要性を広める目的で、2010年から越谷市歯科医師会と協働して口腔ケアラウンドを始めた。ラウンドを進めながら、マニュアルを整備したため、口腔ケアの手順がほぼ標準化されたほか、歯科往診の依頼が増えたり、他の看護師から口腔についての相談が寄せられたりするようになったという。
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