2014年度診療報酬改定で創設された地域包括ケア病棟は、療養病床でも届け出できるものの、看護配置13対1以上といった要件がハードルとなり、一般病床での届け出と比べて進んでいないのが現状だ。そんな中、医療法人社団大和会の多摩川病院(東京都調布市)は昨年7月、療養病床23床で地域包括ケア病棟入院料2の施設基準を取得した。同病棟を稼働させながら、点数が高い同入院料1の届け出に必要な在宅復帰率7割以上のクリアを目指している。【佐藤貴彦】
その後も医療提供体制の充実を進め、13年8月に47床を回復期リハビリテーション病棟に転換。同年9月には、療養病棟入院基本料1を算定する病棟を2つに増やした。現職の矢野諭理事長は同月に就任。最初の大きなプロジェクトとして、地域包括ケア病棟の新設に取り組んだ。
■一番のネック「看護配置13対1ではない」
地域包括ケア病棟入院料の施設基準には、人員配置に関するもののほか、入院患者に占める重症者の割合、退院患者の在宅復帰率などがある。
人員配置に関する基準の一つは看護配置13対1以上だ。そうした要件が明らかになると、すぐに採用活動に力を入れた。
矢野理事長は、「療養病棟からすれば、20対1から13対1を目指さなければなりません。もともと、医療区分が高く重症の患者さんが多いので、実際は18対1か17.5対1くらいでしたが、それでも大変でした」と振り返る。
ただ、一番のネックは人員配置に関する基準ではないという。「看護配置の基準は、とにかく人を集めればクリアできます。問題は、データ提出加算の届け出でした」。
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