昨年1月に搬送先の選定困難で久喜市の男性が死亡したことなどを受け、今年4月に新しい救急医療情報システムを導入した埼玉県で、重症患者の受け入れ照会回数が減少傾向となっていることが、17日までに分かった。消防機関からは「ケースによっては搬送までの時間が、これまでと比べて半分ぐらいに短縮できた」との声が上がっており、救急隊の現場滞在時間の短縮につながる効果が期待できるという。【新井哉】
「医療機関からは、受け入れ状況の見える化により、救急患者の受け入れ意識が向上したなどの評価をいただいている」。今月10日に行われた埼玉県議会の一般質問で、県保健医療部の石川稔部長は、重症患者の受け入れ照会回数が減少傾向にあることなどを挙げ、救急医療情報システムの効果を強調した。
同県内で昨年1月、呼吸困難を訴えて119番通報した久喜市の70歳代の男性が、計36回救急搬送の受け入れを断られて死亡する事案が発生した。こうした受け入れ困難の解消を目指し、県は救急車にタブレット端末を配備するとともに、搬送実績の登録・共有ができなかった旧システムを刷新。救急隊がリアルタイムで搬送実績を登録し、受け入れ可能な医療機関や医師の状況なども共有可能な新システムを構築した。
次回配信は1月30日を予定しています。
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