「救急医療の質の高さには自信がある。でも、一般の病院として見た時はどうなのか?」-。そんな疑問をずっと抱いていたという大阪府三島救命救急センター(高槻市)の秋元寛所長。同センターは全国でも珍しい単独型で、専従医23人を抱える全国屈指の救命救急センター。ある意味では、救急に特化しているがために、病院として当然備えておくべき機能に抜けているところがあるのではないか。そう考えて外部評価を受けることに決めたという。そして、2011年3月、日本医療機能評価機構の病院機能評価の認定を受けた。その経験を通して、見えたものとは-。【坂本朝子】
「専門医集団による救急医療」。それが最大のこだわりで、「日本でもトップ10に入るくらい専門医をそろえているのが強み」と秋元所長は自負する。
その一方で、一般病院としての当然備えておくべき機能が、「救急だから」という理由で重要視されていないことに違和感を覚えていたという。例えば、お風呂がないこと。「救命救急センターに来る重症患者さんはお風呂に入ることはないだろう」との考えからだったが、歩ける患者も中にはいる。ほかにも、「待合スペースが狭いのではないか」「家族のための控室が必要ではないか」など、気掛かりな点が幾つかあった。
そこで、外部の人に評価してもらい、「病院」としての機能を客観的に見直す必要性を感じ、病院機能評価を受けたいと考えた。しかし、職員からは反対もあった。「患者さんが歩いて来るわけでもない救命救急センターで、認定を取得するメリットはあるのか」「取得しても経営上有利になるわけではない」「救命救急センターと一般病院は持っている機能が違って当たり前ではないか」。そんな声も聞かれたという。また、取得手続きに対する職員の負担を考えると、躊躇する気持ちもあった。
そんな時、病院機能評価の受審経験がある事務職員が入職してきた。その職員の「取れますよ」という言葉が強い後押しとなり、取得することを決意。2010年初頭には、「大変な作業だけど、頑張ろう」と全職員に呼び掛け、認定取得へ向けて動き始めた。
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