第33回神奈川県病院学会がこのほど横浜市で開かれ、県内の地域連携についてのシンポジウムが行われた。病院の地域連携室と介護施設との連携や、相模原市と東京都町田市で進められている医療職と介護職との連携の取り組みなどが報告されたほか、リハビリテーション病院が訪問リハビリを積極的に進めているケースも紹介された。【大戸豊】
相模原市内には、病院が35施設あり、療養病院は近隣の二次医療圏の中でも突出して多いほか、介護保険施設も多いという。ただ、各施設の機能を把握したり、顔の見える関係を結んだりすることが難しいほか、情報共有が遅れてしまうこともあったという。
例えば、特別養護老人ホームの利用者が肺炎で入院し、経口摂取が困難になったが、中心静脈栄養や経管栄養を望んでいなかった。病院の医師は引き続き特養で過ごすのは難しいと判断し、療養病院に転院することになった。しかし、入所していた特養では、在宅診療所と連携し、看取りの対応を進めていたことが分かった。
また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の急性増悪で特養から入院してきた患者は、酸素吸入が欠かせなくなったが、特養で酸素に対応するのは難しいと、病院の医師から療養病院への転院を勧められた。だが、その特養では、在宅酸素が必要な利用者を限定的だが受け入れていた。
斉藤氏は、病院内では在宅で可能な訪問診療による医療行為や訪問看護の実情をあまり知らず、在宅療養が可能な人でも、療養病院等に転院しているケースもあると言い、在宅で過ごしたいという患者の希望に沿うためにも、地域の医療機関、介護事業所と連携し、顔の見える関係性を築くことが欠かせないと言う。
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