国立大学法人が運営する大学病院の経営状況を把握するために開発、導入された会計管理システムの運用状況を会計検査院が調べたところ、京大や東北大、神戸大など24病院で十分に利用されていないことが分かった。24病院で計約1億8000万円の導入経費がかかったが、京大など11病院では利用開始に至らなかったという。数年後には新システムの導入が見込まれることから、検査院はシステムの利活用に必要な体制整備を求めている。【新井哉】
検査院が問題視したのは、国立大附属病院長会議が約1億3100万円かけて開発した病院会計管理システム「HOMAS」。国立大の法人化に伴い、2005年度までに開発されたもので、大学・医学部附属病院を運営している42法人のうち、41法人がこのシステムを導入しているという。
HOMASは、診療科や検査部門ごとの原価計算が可能で、その結果を基に患者ごとに原価計算や、部門ごとの損益分岐点などを明確にできるといった利点がある。HOMASを活用した病院関係者からは、「診療単価が低いが限界利益率が高い患者を増やすことが効率的」、「損益分岐点に達するために必要な1日当たりの患者数が分かった」といった声も挙がっており、マネジメント会議や院内の共有資料として活用している病院も少なくない。
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