データ提出加算の届け出には、患者の簡易診療録情報などを既定の形式でまとめるため、院内の体制整備が必要だ。同加算の取得に関するコンサルティングなどを手掛ける健康保険医療情報総合研究所(PRRISM)の伊藤哲史氏にポイントを聞くと、体制整備の注意点だけでなく、その道程で、病院の経営改善のヒントを得られるなど、さまざまなメリットが期待できることも明らかになった。【佐藤貴彦】
2012年度診療報酬改定で新設されたデータ提出加算は、DPC制度の患者調査に準拠したデータを正確に作成し、継続して提出する病院を評価するもの。入院データのみを提出する病院が対象の加算1と、外来データも提出する病院が対象の加算2がある。点数は病院の病床数によって異なり、加算1は100点か150点、加算2は110点か160点。どちらも患者の退院時に1回のみ算定できる =表1= 。
同加算を届け出る病院数は今年度、大幅に増えると見込まれている。14年度報酬改定で、同加算の届け出が、一般病棟7対1入院基本料(7対1)などの要件に加えられたためだ。新設された地域包括ケア病棟入院料などでも、同加算の届け出が要件の一つになった。
7対1を14年度改定前から届け出ている病院などには、来年3月末まで経過措置がある。ただ、まだ同加算を届け出ていない病院は「今すぐ動く必要があります」と伊藤氏は警鐘を鳴らす。
その理由は、データ提出加算を届け出るプロセスにある。厚生労働省の審査を受けて、合格しなければならないのだ。しかも、審査はいつでも受けられるものではなく、チャンスは年4回に限られる。
経過措置が終わるまでに審査を受ける機会は残り1回。その申し込み期限は11月20日で、審査では2か月分のデータ(12月と来年1月)を作成し、2月22日までに提出する。伊藤氏は、この審査を受けるのであれば「データを提出できる体制整備を、11月中には終わらせなければいけません」と強調する。
11月中に整備すべき体制は大まかに、レセプトコンピューター(レセコン)の改修と、院内の業務の見直しの2つに区分できるという。では、まずレセコンの改修ではどのようなことに気を付ければいいのか-。
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