新病院を建設する際、資材の高騰や土壌汚染といった外的な要因で、計画の見直しを迫られるケースが相次いでいる。特に地域医療を担う公立病院では、建設を中止するのは難しく、基本設計を見直したり、外構などの削減を検討したりして、事業費の縮減を図る動きが広がっている。知恵を絞って新病院の建設事業に取り組む自治体の現状や課題を探った。【新井哉】
病院本体の機能を確保しつつ、外構や基礎工事などでの削減を基本的な考えとして検討を進めた―。2017年度内の新病院開院を目指す大田市立病院(島根県大田市)では、市が昨年3月に公表した基本構想の中で示した112億円の概算事業費が、資材費や人件費などの高騰による建設コストの大幅な上昇に伴い、基本設計時には139億円と大幅に増額。4月以降、設計事務所からの削減提案を基に、院内に設置した新病院建設調整委員会を開催するなど、見直し作業を進めてきたという。
基本構想の中で、竹腰創一市長は「施設の大半が築40年を超え、老朽化による耐震性が懸念されるなど、さまざまな課題を抱えている」とし、基本構想の実現に向けて市と市立病院が結束して新病院づくりを進める方針を強調していた。
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