利用者にとって生活の場でもある介護施設や在宅での看取り。こうした医療機関以外での看取りの必要性が高まっているが、介護職員からは経験不足による戸惑いや不安の声が根強い。そこで、先月24日、滋賀県が介護施設での看取りのあり方をさまざまな角度から考える「医療と介護をつなぐ看取り介護研修会」を実施した。【坂本朝子】
冒頭で、滋賀県老人福祉施設協議会の藤居眞副会長は「(利用者が)入所された時から看取りケアは始まっている」と述べ、日常のケアで利用者とのよりよい関係をつくることが後の看取りケアの充実につながるのではないかと参加者らに訴え掛けた。
■看取りを特別視せず、いつも通りのかかわりを
「看取りを特別視せず、利用者といつも通りの接し方を心掛けることが大切ではないか」-。そう呼び掛けたのは社会福祉法人あいの土山福祉会・特別養護老人ホーム・エーデル土山(甲賀市)の野村絢加さんと伊室安優美さんの2人。
2人がそのような考えに至ったのは、看取り期に入ると、「訪床回数が減ることで介護ができない」「『大丈夫?』『しんどい?』などの悲観的な声掛けが多くなる」「血圧や脈拍などの数値ばかり気にしてしまう」など、いつも通りのかかわりができていないことに気付いたからだ。野村さんは、「言い方が悪いかもしれないが、腫れ物に触る扱いをするのではなく、今まで通りのかかわりが大切であると感じた」と語った。
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