「人生の最終段階」にある患者の意思を尊重するには、どのような医療体制を構築すべきか―。こうした“命題”に対し、厚生労働省は、終末期医療の取り組みに力を入れている10施設を「モデル医療機関」に選定し、将来の本格的な事業展開を見据えた「知見の集積」に乗り出した。医療や福祉の現場で、いかにして患者の人生の最終段階に寄り添えばいいのか。先進的な取り組みや課題を探った。【新井哉】
10施設の“精鋭”を集めて8月下旬に厚労省で行われた事業者説明会で、参加者の注目を集めたのが「ライフデザインノート」だ。このノートは東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)の高橋龍太郎副所長や島田千穂、中里和弘両研究員らの研究グループが作成したもので、患者がこれまでの人生を振り返り、自分らしい生き方を考えてもらい、患者や家族らに満足してもらえる医療の提供につなげる狙いがある。
研究責任者の高橋副所長は「終末期医療やケア方針を決定する際、患者本人の意思が確認できない場合でも、記入された人生観や価値観、嗜好などを見て、家族や医療福祉関係者が参考にできることを目指した」と説明する。
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