各地で苦戦している「地域包括ケア」の体制づくりだが、その好事例として注目を集める取り組みがある。滋賀県東近江圏域(近江八幡市、東近江市、日野町、竜王町)で、医療や福祉、行政機関などが一体となって顔の見える関係づくりを進める「三方よし研究会」だ。近江商人の教訓である「売り手よし、買い手よし、世間によし」の三方よしの精神に習い、「患者よし、機関よし、地域よし」の理念を掲げ、活動を展開する。【坂本朝子】
設立当初から毎月1回、関係者が一堂に集まり、脳卒中の連携体制や地域連携パスの共通様式の検討などを行ってきた。最近では、認知症や在宅など、地域で取り組むべきテーマについて、事例報告やグループワークなどを通じて情報共有を図っている。初回時の参加者は40人ほどだったが、年々増加し、現在は毎回100人を超える状況が続く。この研究会の大きな特徴は「時間厳守」と「会場の持ち回り制度」。それが参加者の負担を軽減するとともに、モチベーションの向上につながり、活動を長続きさせる秘訣だという。
先月、81回目となる研究会が近江八幡市立総合医療センターで開催された。その日のテーマは「認知症のある独居高齢者を支える地域ネットワーク」。会場に入ると、開始前から既に顔見知り同士の情報交換がスタートしており、会場は熱気に溢れていた。
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