厚生労働省の来年度予算の概算要求では、医療分野のさらなるICT化に取り組み、データの収集や活用を進める新規の事業が多く盛り込まれた。例えば、診療行為の効果の情報を蓄積したり分析したりする取り組みを支援するほか、レセプトから得られる情報を、地域ごとに集計して、「NDB白書」(仮称)として公表する。有床診療所や中小病院のスプリンクラー整備支援などにも取り組む。【佐藤貴彦】
■患者予後に対するICT化の有用性を調査
厚労省の概算要求によると、医療分野のICTの導入をさらに促進させるため、新規事業「ICT地域医療連携による患者予後の影響調査事業」に2億2000万円を計上。ICTの導入が患者の予後に及ぼす影響を、病院などで調査し、その有用性を明らかにしたい考えだ。
「臨床効果データベース整備事業」も新たに実施。診療行為の効果(アウトカムデータ)を一元的に蓄積・分析・活用するために情報基盤を整備する学会などの取り組みを支援するもので、予算要求額は2億2000万円。
また、2億1000万円を計上した新規事業では、救急医療の質を高めるために、データの収集・解析を行う。具体的には、救命救急センターなどへの患者搬送情報や、搬送先の医療機関内での治療情報を収集・解析し、適切な搬送治療体制の整備に生かす。
さらに、DPCデータの一元管理と利活用に向けたデータベースの構築に、4億5000万円を計上して取り組むほか、新規事業の「NDBデータの活用の促進等」に20億円を計上。
同事業では、レセプトや特定健診に関する情報の収集に用いるソフトウエアを改修し、収集する情報の質を高めたり、レセプトから得た情報を地域別などで集計した「NDB白書」(仮称)を取りまとめて公表したりする。白書の公表は、レセプトから得られる情報に対する国民の理解を深めることなどが狙い。
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