「やりがいがあり、地域医療にも役立つと思う。でも、採算がね」-。そう考えて在宅医療に二の足を踏む薬局は多い。実際、在宅業務を届け出ている薬局のうち約1割しか在宅医療を実施していない。医師で薬局経営者でもある日本在宅薬学会の狭間研至理事長は、同学会第7回学術大会の薬局経営緊急セミナー「薬局3.0から、薬剤師3.0。そして、薬局経営3.0へ!」で、自身の薬局の取り組みを基にした新たなビジネスモデルを提案した。【坂本朝子】
狭間理事長は、まず、医薬分業率が70%に近づき、処方箋の発行枚数が年間7億8000万枚に及ぶ現在、「調剤薬局は非常に強力なビジネスモデル」であり、2か月後には必ず調剤報酬が振り込まれ、顧客から現金の回収も可能で、卸業者にも協力してもらえる今の状態を「普通のビジネスとしては考えられない」と評した。そして、結果的に、こうした高収益性が調剤医療費の増大につながり、業界が批判されるようになったのではないかとの考えを示した。
その上で、こうした現在の調剤薬局のビジネスモデルは、病院や医師に依存しており、医薬分業の本来の目的だった多剤併用回避や薬害の根絶に必ずしも寄与していない点などを課題とし、薬剤師が感じる閉塞感を打破するためにも薬局は自立しなければならないと力強く語った。
とはいえ、在宅医療に進出することで採算が合うのか-。狭間理事長は、そこがクリアにならなければ後に続く薬局は出てこないとし、具体的な数字を示しながら、採算が合うためにはどうすればよいか説明を続けた。
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