在宅医療を担う家族の介護力は弱まっており、緊急避難先として有床診の役割は高まっている－。7月に岐阜市で開かれた全国有床診療所連絡協議会総会。地域包括ケアにおける有床診の役割をテーマにしたシンポジウムでは、岐阜県内で診療所を営む医師から、在宅患者の急変に対応するだけでなく、介護する家族のレスパイトの機能について、重要性を強調する意見が目立った。【大島迪子】

■脳梗塞の後遺症などを抱える長期介護が必要な家族で 　「末期がん以外の脳梗塞や慢性呼吸不全などの患者さんは、脱水や誤嚥性肺炎などをしょっちゅう起こす。（有床診の）病棟で症状を改善させ、在宅に戻ってもらうことで、介護者の不安を解消することができる。結果的に長く在宅で過ごすことができる」 　浜田・浅井医院（岐阜県多治見市）の浜田茂彰理事長は、診療所が病床を持つ意義をこう説明する。同医院は1999年に在宅診療を始め、2001年に病棟を開設。13年末までに1162人を看取り、病棟では244人が亡くなった。4年前には近くの県立病院に緩和ケア病棟ができ、末期がん患者の入院は減った一方、がん以外の患者に対し、有床診の役割を感じているという。

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