歌手デビューから10年を経て、アンさんは、自分の心を開かずしていい演奏はできないことに気付いたそうです。そして、目の前の患者さんに対しても、心を開いて接することの大切さは同じと言います。【聞き手・大戸豊】
■研修医時代、仕事帰りに河原で歌を練習
―なぜ、医師になろうとしたのですか。
父が医師でした。家の本棚には医学書があり、小さいころから眺めていました。物心が付くころから「なりたい職業」の一つでしたし、それからも「長年かけて技能を磨いていく仕事」として魅力を感じていました。
―音楽に親しんだのは。
音楽が好きな家族で、家では流行の歌などを聴いていました。小さいころからピアノも習っていました。次第に音楽に強く心惹かれるようになり、音楽を通じて友人もできました。音楽の道か、医療の道か、いつも2つの選択肢が目の前にありました。
幼いころからの、音楽に対する「きれいだな」「魅力的だな」という思いの延長線上で、今でも歌っているところがあります。
―なぜ、医大に進学を決めたのですか。
父も絵が好きで、美大か医大かで悩み、「両方やるなら」ということで医師の道に進みました。わたしも、どちらにも比べられない魅力を感じていたので、両方できる道を選びました。
音楽を真剣にやりたいと思うようになったのは、他大学の音楽サークルに入ってからです。医師としての勉強もする一方で、音楽にも打ち込み、国家試験の迫る時期にもライブと勉強を併存させていました。歌を続けることで、勉強にもさらに身が入る思いでしたね。
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