―この本を描いたきっかけは何ですか。
10年3月に、変形性膝関節症の手術で、母がひざに人工骨を入れることになりました。病院選びから住宅改修から、いろいろしているうちに、こんなに大変なんだったら描いたろと思ったんですよ(笑)。変形性膝関節症で人工骨を入れる人は、全国に8万人いるそうです。手術はこんなんだと描いたら、それはそれで作品として成立するし、ひざの悪い人やその家族の役に立つのではないかと。そのころから介護メモというか、日記を付け始めた。あの時、先生は何て言ってただとか、自分はどうしてたっけとか、いろいろ思い出せる。絵も時々入っている。先生たちの顔とか、印象に残ったものを。
ネーム(漫画のラフ)をある程度書きためた段階で、出版社の担当さんに見せたら、「ひざの手術をやるよりは、もう10年ぐらい介護をやっているわけだから、それを描いた方が面白いんじゃないか」と言われた。確かにその通り。ひざの手術をする人が8万人だとしたら、介護する人、される人はもっといるわけですから。
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