毎年2000人以上が自ら命を絶つ東京都内で、自殺未遂による救急搬送を減らそうと、東京女子医科大東医療センターと荒川区が連携を強化している。ソーシャルワーカーらがサポートしてきた自殺未遂者を、院内で区の保健師に引き継ぐことで、切れ目のない支援に結び付けている。東京都も今月から、救急医療機関から精神科病院・かかりつけ医に患者の情報などを提供する事業を始めた。自殺未遂者に対応する新たなネットワークや支援体制が構築されたことで、都内の医療機関と自治体の連携に弾みがつきそうだ。【新井哉】
「自殺未遂で搬送された全患者に対してアセスメントを行うことができ、適切な時期に介入や支援が始められるようになった」。東京女子医科大東医療センターの医療社会相談室で、ソーシャルワーカーとして患者の支援を続けている大塚亮子さんは、院内全体で自殺未遂者の支援体制が整ったことについて、こう説明する。
東医療センターは、三次救急医療機関として救命救急センターを持ち、所在地の荒川区だけでなく、隣接する足立区などからも重篤患者らを受け入れている。搬送される患者の中には、金銭的な問題や精神疾患といった重複した課題を抱え、自殺を図る人が少なからずいるのが実情だ。
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