国内での新型インフルエンザ発生に備え、最新の個人用防護具を使ったり、仮設の専門外来施設を設置したりして、“実戦”に近い環境で訓練を行う医療機関や自治体が増えつつある。中国などで感染が相次いでいる鳥インフルエンザが、人から人へ容易に感染できるように変異した場合、患者を受け入れる医療機関に十分な備えがなければ、職員や他の患者にも感染が広がりかねないからだ。どのような対策を立て、準備を整えれば、職員や患者らの感染リスクを減らせるのか。実際に行われた訓練などから、効果的な防護方法などを探った。【新井哉】
「医療従事者に最大の防護環境を提供できているかどうかが、感染制御として問われる」。横浜市立大附属病院で今月9日に行われた新型インフルエンザを想定したシミュレーション訓練。近隣の医療機関や保健所の職員ら約30人の参加者を前に、感染制御部の満田年宏部長が訓練の意義を強調した。
壇上では同病院の職員がタイベックス社製の白い個人防護服などの装着を実演。「これも装着します」と職員が掲げた電動ファン付き呼吸用防護具に参加者の視線が集中した。2009年の新型インフルエンザ(H1N1)の流行時に感染防止の対策方法が問題となったため、同病院はこうした防護具の配備を進めていた。
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