インフルエンザなどの感染症の情報収集や解析を行う「感染症発生動向調査事業」について、厚生労働省が検査の実施基準の策定などを視野に、事業を見直す方針を決めた。先月行われた行政事業レビューで「事業全体の抜本的改善」の評価結果を突き付けられたことに加え、検査体制を担う都道府県などの地方衛生研究所(地研)の機能低下が問題視されているからだ。人材・予算不足で地研の“地盤沈下”が顕著で、厚労省は「一部の自治体では、必要な情報収集・分析が十分になされていない恐れがある」と危機感を強めている。【新井哉】
「検査方法や頻度の基準を設定するなど、制度の見直しを着実に行い、適切に予算積算を行うことが必要」。先月24日に厚労省で行われた行政事業レビューで、外部有識者の委員6人は、感染症発生動向調査事業に厳しい評価を下した。
この調査事業は感染症法に基づくもので、感染症に関する情報収集や、専門家による解析を行い、感染症発生の予防や拡大を防止するのが目的。病原体の検査に必要な検体は、医療機関から自治体に提供されているが、検体の提供や自治体の検査の実施については感染症法に明文化されておらず、一定の基準がないといった課題も少なくない。
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