国からの補助金が後押しとなり、各地で導入が進む「地域医療ネットワークシステム」。内閣官房IT総合戦略室によると、現在、全国に少なくとも約160のネットワークが形成されているという。しかし、その利用方法や活用状況は地域で異なり、試行錯誤をしているのが現状だ。こうした背景を踏まえ、先月、岡山市内で開催された日本医療マネジメント学会学術総会のシンポジウムでは、何が課題となっているのかについて話し合われ、導入の初期段階はコストや開示ルールの設定がポイントになることなどが確認された。【坂本朝子】
白鳥教授は、「国もIT化のための予算を計上してサポートしているが、地域連携システムのIT化が本当に有効なのか、見直すタイミングになっている」と話し、今までは「どんどんつくりなさいという時代」だったが、これからは「有効性が評価される時代」になってくると評した。実際、今年から厚生労働科学研究の一環として、「地域医療連携システムの医療経済評価に関する研究」が始まり、費用対効果が十分かどうか検証し、今後も補助金を出し続けるかどうかの検討に入っているという。
また、医療情報を共有する上で基本となる「医療情報は誰のものか」「どの情報が重要か」などについて十分な議論が尽くされていないと指摘。開示のルールやそれにまつわる法的な整備がなされていない現状を問題視した。
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