新人ナースの教育システムとして全国的に普及し、現在も根強く支持される「プリセプター制度」。卒後3年目前後の先輩ナースがマンツーマンで新人をフォローするこの仕組みは、新人のリアリティーショックを緩和し、教える側の成長にもつながるといったメリットがあるとされる一方で、「指導ナースの負担が大きい」「新人の視野が狭まる」「ペアの相性が悪いと、どちらかが離職する」など、デメリットを指摘する声も上がっている。そこで、病棟やチーム全員で育てる方式にシフトする病院が少しずつ増えている。新たな新人教育の取り組みを取材した。【烏美紀子、坂本朝子】
■プリセプター制度に「メリットなし」
「問題があるなら、ゼロベースでやめてみよう」-。
上尾中央総合病院(埼玉県上尾市、724床)の工藤潤看護部長は2008年、プリセプター制度を廃止した。前職の病院から赴任して様子見をした1年間で、このシステムの課題がはっきりしたためだ。
マンツーマンとはいいつつ、先輩ナースには月に10日の休日と5日の夜勤があり、新人のいる日勤帯にきちんと指導できる日は、実は半分もない。さらに、自身がまだまだ一人前とは言えない3年目が後輩を背負う負担は重く、「燃え尽き」の原因にもなっていたという。新人にとっても、教えてもらうことが前提で指示待ちになりやすく、積極的に学ぼうとする姿勢が育ちにくいという側面があった。
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