「医療安全管理のネガティブな意識を変えたい」-。先月、大阪市内で開催された日本医療安全学会の多職種間学際シンポジウムで、運営責任者を務めた近畿大医学部附属病院安全管理部の辰巳陽一教授は、そう力強く語った。そして、失敗のみならず、成功にも目を向ける「前向き医療安全へのアプローチ」という新たな発想を提唱した。辰巳教授を含むさまざまな職種のシンポジストらが、それぞれの立場からポジティブな医療安全活動について報告した。【坂本朝子】
しかし、「人間はその都度、臨機応変に対応することで事故を防げている」とし、どのようにして良好な状態を維持しているのかに目を向けることが重要と強調した。つまり、成功と失敗は同じ道のりをたどるが異なった結果になるとし、日々の業務の中で危険を予測し、回避する「先行的安全管理」が成功につながるとの考えを示した。
こうした考えに基づき、危険を許容限度内に収めてくれた安全につながる行為の報告をする「ポジティブインシデント報告」が有用とし、辰巳教授は、「インシデントを発生させた背景因子を分析することは重要。インシデントで済ませることができた能力を共有することはもっと重要」と力説した。
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