2014年度診療報酬改定では、在宅復帰支援などの機能を担って地域包括ケアシステムの中核となる病棟が重要だとして、「地域包括ケア病棟」の評価が新設された。これを受けて5月、同病棟の届け出を目指す病院などで構成する「地域包括ケア病棟協会」が発足した。初代会長に就任した仲井培雄・ほうじゅグループ代表は、同病棟がリハビリテーションなどを包括した評価体系だからこそ、託すことができる夢があると話す。【聞き手・佐藤貴彦】
地域包括ケア病棟に主に期待される機能はポストアキュートのほか、在宅療養中などの患者の急性増悪の受け入れ(サブアキュート)、在宅復帰支援の3つ。病棟単位の「地域包括ケア病棟入院料」と病室単位の「地域包括ケア入院医療管理料」(許可病床200床未満)は、どちらも2区分だ。看護配置13対1や専従の常勤リハビリスタッフの配置などが要件の同病棟入院料(入院医療管理料)2は、一日2058点。要件に在宅復帰率70%以上などが加わる同病棟入院料(入院医療管理料)1は一日2558点で、どちらも60日まで算定できる。リハビリを含めたほとんどの評価が包括化されている。
わたしが運営する芳珠記念病院(石川県能美市)では今年10月から、一般病床40床で地域包括ケア病棟入院料1を算定する予定です。その病棟では、包括評価の良さを生かしたリハビリを実施しようと考えています。
現在の疾患別のリハビリの評価では、20分が1単位で、理学療法士などのリハビリスタッフ一人当たり週108単位まで算定できるなどと決められています。そして、そうした基準に沿って作成した総合実施計画に基づき、リハビリを提供しています。
一方、排泄や食事、入浴など、患者の生活機能を回復する上では、時間帯・場所・量を適切に選んでリハビリすることが重要なはずで、当院ではPOC(Point Of Care)リハビリと称しています。しかし、現在の診療報酬体系では、さまざまな要件で縛られており、基準を外れれば評価を得られません。評価を得られない仕事では、リハビリスタッフのモチベーションもなかなか上がりません。
こうしたジレンマは、リハビリの評価が包括化された地域包括ケア病棟入院料などを届け出れば解消できるはずです。ほかの病院でも、必要に応じてできるリハビリという利点を、ぜひ活用してほしいと思います。
■リハビリ「平均2単位」には注意が必要
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