2014年度診療報酬改定で手術の評価は、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)が手術ごとの難易度や、必要な人件費などのコストを集計した最新版の試案(8.2版)を活用して見直され、19件で点数が引き上げられた一方、81件で引き下げられた。外保連の山口俊晴会長(がん研有明病院副院長)は、短時間でできるようになった手術の技術料が引き下げられるのはやむを得ないとする一方、「世の中のものの値段は、コストとバリュー(価値)で決まっています」と指摘。次の試案には、その両方の軸を盛り込むことを目指すという。【聞き手・佐藤貴彦】
■手術コスト減、点数引き下げでも残るメリット
外保連試案は、加盟する学会による調査と検証に基づいて、全術式の人件費と、材料・機器・室料などの費用を算出しています。感覚ではなくデータから示しており、ほぼ正確なコストを表していると自負しています。
10年度から、試案は手術の評価と直結しています。手術に要する時間は技術や機器の普及とともに短くなりますから、われわれは責任を持って、データをどんどん新しくしています。
そうして試案の版を重ねていく中で、かかる時間が短縮され、算出された人件費が下がる手術もあります。14年度改定では、12年度改定で用いられた試案の8版と最新の8.2版とを比べて、人件費が50%以上前後している手術を対象に、点数が見直されました。
手術時間が短縮された陰には、外科医の頑張りが必ずあります。当然、その努力を評価してほしいという気持ちがありますから、「正直にデータを出したら、点数を引き下げられるのか」とがっかりする医師もいるでしょう。しかし、引き下げには納得せざるを得ない部分もあると考えています。
例えば、これまで3時間かかる手術を1日1件していた病院では、手術に要する時間が半分になったら、1日2件に増やせるかもしれません。点数が少し引き下がったとしても、短縮するメリットはあると言えます。
■バリューの評価ないと医療現場の士気が低下
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