(第3回配信は6月2日15:00を予定しています)
3月下旬、大阪市平野区の共同住宅の一室に、臨床宗教師たちが続々と姿を現した。真言宗、浄土真宗、プロテスタント…。宗教的背景の異なる者同士が一堂に会し、日々の活動内容を報告し合う。東北大の修了生たちによる「関西支部」の定例会の一こまだ。
同支部が発足したのは1月末。臨床の現場で孤立しがちな宗教者が月に1度のペースで集まり、それぞれの課題を発表し合う。出席者は毎回10人ほど。臨床宗教師の活動に関心があれば、一般の人や他の宗教者も参加できる。
「生老病死苦に寄り添い、最期に送り出すことが本当の供養になる。葬儀主体のこれまでの関わり方は、僧侶として正しかったのか」―。懇親会でお酒も振る舞われるなど、和やかな雰囲気の中、思わぬ本音が飛び出ることも。
同支部の世話人を務めるNPO法人「ビハーラ21」の理事で、自身も僧侶の三浦紀夫さんは、「福祉施設や緩和ケアへのボランティアなど幅広く、現場に出ている程度はそれぞれ異なります。『こんなことで困った』とか、『患者と会話が続かなかった』とか、そういった悩みも共有している」と話す。
関西支部の発足後間もなく、関東や九州にも支部が誕生。会合には、医療や福祉の関係者も参加するなど、交流を深めている。また、同じ志を持つ宗教者が情報交換などを行う「臨床宗教師会」も立ち上がり、医療や介護をめぐる宗教者のネットワークは広がりを見せている。
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