「薬価部分の『マイナス改定』は過大要求の時点修正にすぎない。これと診療報酬本体の改定率を通算することに意味はなく、薬価の過大要求の修正と診療報酬本体のあり方は切り分けて考えるべき」-。2014年度診療報酬改定の財源をめぐる議論では、財務省などがこうした主張を展開。薬価などを引き下げて捻出した財源を本体の引き上げに充てるのが「通例」だと考えていた医療界に大きな波紋を呼んだ。内科系121学会で構成する内科系学会社会保険連合(内保連)の工藤翔二代表(複十字病院長)は、診療報酬で評価する対象を医薬品などの物から医師らの技術に移すのが改定のあるべき姿だと指摘する。【聞き手・佐藤貴彦】
14年度予算編成の基本方針では、薬価などと報酬本体の財源は「それぞれについて真に必要な分野への重点的な配分を行う」こととし、結果としては、消費税率引き上げに伴う医療機関の負担増を補てんする財源(+1.36%)を除いた改定率は、本体が+0.1%、薬価が-1.36%で、ネット(全体)では1.26%のマイナス改定となった。
診療報酬についてわたしたちは、「評価の対象を物から技術に移すように」とずっと言い続けています。この大きなテーマは実のところ、診療料や入院料を基本診療料で評価し、そこに含まれない医療行為は特掲診療料の中で個別に評価するという現行の体系の骨格でもあります。
基本診療料と特掲診療料で医療行為を網羅的に評価する現行の体系は、半世紀以上前の1958年に登場しました。診療報酬はそれまで、医療行為に要する費用が評価の中心に置かれ、薬剤などの物を使用する投薬や注射の点数が高く設定されていました。
こうした点数配分は、高額な薬剤がむやみに多用されかねないことや、医師の専門的な技術を要する診察や手術などへの評価が不十分だといったことから問題視されました。そして58年の報酬改定で、物への評価と技術への評価を分離する新たな報酬体系が生まれたのです。
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