激しい揺れでガス管が破断して爆発、スプリンクラーも壊れて消火できず、院内は火の海に―。災害拠点病院などで建物の耐震化が進む一方、その施設の医療機能を支えるインフラの防災対策が十分進んでいない。特に老朽化したガス・水道管の取り替えや、スプリンクラーの耐震化を進める医療機関はほとんどないのが実情で、国の関係省庁は、病院や診療所で二次災害が発生することを懸念している。【新井哉】
■古いガス管に腐食の恐れ、200施設で取り替え急務
「地震発生時に医療施設の敷地内に埋設されている古いガス管が破断し、爆発や火災につながる恐れがある」。相当数の病院で経年劣化した鋼製のガス管が残っている可能性があることから、経済産業省の担当者は危機感を募らせている。同省は2月、医療関連団体などに対し、埋設ガス管の耐震化を促す通知を出した。東日本大震災の際、東北地方を中心にガスを供給する管が破損し、供給停止の措置を取るガス会社が相次いだからだ。
医療機関にガスを供給する事業者管理の「導管」の耐震化が進む一方、「内管」と呼ばれる使用者の敷地内に設置された管は、取り替え工事の費用が使用者の負担となっていることもあり、耐震化が遅れているのが実情だ。特に小規模の医療機関の埋設状況の把握は困難で、耐震化が進まない要因の1つになっている。
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