「お邪魔します」。元気よくあいさつして、在宅療養中の患者が待つ団地の一室に入っていくのは、昨年まで大学で勉強していた2人の新卒看護師だ。山梨県看護協会は、新卒看護師を初めて採用し、同協会のゆうき訪問看護ステーション(甲府市)に4月、配属した。県看護協会が中心となって新卒から訪問看護師を育てるプロジェクトの背景には、県内で訪問看護を担う若手看護師不足がある。同協会の藤巻秀子会長は、「訪問看護師の平均年齢の上昇は、全国的な課題。山梨の取り組みがうまくいけば、いろいろな県の看護協会にも広がる」と成功への意欲を示す。【佐藤貴彦】
最初の目標は、一人きりでの訪問を7月に1件実施すること。単独で訪問する受け持ち患者数は徐々に増やしていき、来年6月には月30件、7月には月50件にする予定だ。夜間などの緊急対応も、来年9月ごろから同行を始め、研修期間が終わるまでに単独で対応できるようになることを目指す。
■先輩看護師に同行、多様なケース見て「雰囲気感じて」
この日は、同ステーションの並木奈緒美所長の訪問に同行した。患者は、慢性心不全を患う独り暮らしの60歳代男性。並木所長は患者と談笑しつつ、また手順の説明を織り交ぜつつ、バイタルサインを測っていく。2人は、のぞき込むように一連の動作を注意深く見守り、時には熱心にメモを取る。
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