新人看護職員が少ない施設や小規模病院でも救急蘇生や感染管理、医療安全といった研修が可能になる―。今年2月に改訂された「新人看護職員研修ガイドライン」を取り入れた教育が、今年度から全国の医療機関で本格的に始まる。改訂ガイドラインでは、自施設の研修計画に、外部組織や他の医療機関の活用を明記。複数の医療機関による共同研修を促し、小規模病院でも新人看護職員の技量アップが可能となる方向性を示している。どのような取り組みを行えば、全体の底上げが図れるのか。先進的な自治体や病院の事例から“成功の秘訣”を探った。【新井哉】
■研修参加者が増え、離職率も低下
「地域連携」を掲げ、新人看護職員研修に積極的に取り組んでいる自治体がある。広島県は2010年8月、看護協会や医師会、病院協会、二次医療圏の看護部長らで構成する「新人看護職員ワーキンググループ」を設置し、研修事業の目標設定や人材確保の体制整備などの検討に着手。この取り組みを推進するため、▽医療現場のニーズ把握▽ワーキンググループで課題を検討▽必要な支援の実施・評価―を1つのサイクルとして事業展開を図ってきた。
なぜ、研修体制の確立を急いだのか。それには理由がある。新人看護職員の離職率が高かったからだ。広島県が独自に行った調査では、事業開始前の離職率は12%。これをいかに下げるかが喫緊の課題となっていた。改善を図るため、県が選んだのが、今回の改訂ガイドラインにも盛り込まれた「共同研修」だった。
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