「病院全体でチーム医療を考えた時に、今までになかった仕事に薬剤師の役割があることが見えてきた」-。そう話すのは、神戸市立医療センター中央市民病院で院長補佐を務める橋田亨薬剤部長。同院では、2011年に912床から700床という大幅なダウンサイジングを伴う新築移転に際し、新病院でどのような医療を提供するか多職種で議論する中で、薬剤師が入院前から患者に介入する仕組みを構築していった。【坂本朝子】
外来の一角にある「入院前検査センター」。そこは、看護師が入院の決まった患者にオリエンテーションをする場所だ。今後のスケジュールを説明したり、不安解消の手助けをしたりすると同時に、治療に影響を与える可能性がある薬剤を服用しているかスクリーニングする。必要時には薬剤師がオンコールで対応し、薬物療法の情報をさらに収集していく。
その際、「常用薬をしっかりと把握することが重要」と橋田部長は強調する。キードラッグを患者が忘れ、後から家族が持って来るケースなどもあるため、いわゆる「持参薬」を前提にすると見誤るからだ。そのため、場合によっては、患者のかかりつけの医療機関に問い合わせることもあるという。
また、同院では、さらに聞き取りが必要と判断された患者は、後日、予約制の「内服薬確認外来」で薬剤師が詳細に話を聞く。診察室を使い、患者1人に対し20分の時間をかけ、常用薬の情報整理をしたり、プロトコルに基づいた抗凝固薬中止の指導をしたりする。こうした薬に関する一連の情報は、薬剤師がすべて整理し、電子カルテ上に記録。入院時の対応につなげる。
そのほかにも、抗がん剤のレジメンや副作用、デイサージャリーでの薬物療法の説明など、薬剤師が外来でフォローアップするケースは多岐にわたる。
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