このほど公表された「国民健康・栄養調査(2012年)」の推計によると、国内の糖尿病患者は予備群を含めて約2050万人に上る。発症後の進行と合併症を防ぐには、早期からの「食事療法・運動療法・薬物療法」が重要だが、その地道さから、ドロップアウトしてしまう患者が多いことがネックになっている。「この課題に踏み込んでこそ、本当の糖尿病治療だ」と、宇都宮東病院糖尿病センターは、院内にレストランとフィットネス・ジムを併設し、「治療の3本柱」の実践の場を提供している。【烏美紀子】
JR宇都宮駅からバスで20分ほどの郊外にある同病院。本院に隣接する糖尿病センターの3階に上がると、健康食レストラン「Sante(サンテ)」から、おいしそうなにおいが漂ってくる。
ランチタイムには、センターの管理栄養士が考えた週替わりの糖尿病対応メニューがずらり。主菜が5種類、野菜中心の副菜は4種類、汁物やごはんも2種類ずつから選べて、甘いデザートだって用意されている。地産地消の食材を使い、魚や肉、カレーにめん類とバラエティーも豊富だ。
それぞれの血糖コントロール目標や好みに合わせ、幾通りにも組み合わせることができ、入り口のショーウインドーの前では、目移りしている利用者もいるほど。あらかじめ献立の決まったセットメニューにしないのは、「糖尿病でも、好きなものを選ぶという食の楽しみをあきらめる必要はない」ことを分かってもらうための工夫だという。
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