医療機関や自治体、医系団体で独自の災害対応マニュアルを策定する動きが広がっている。東日本大震災から3年を経た今月12日には、日本医師会(日医)が医療施設の避難確保計画作成の手引きを公表した。栃木県も7日に災害医療体制運用マニュアル案を県救急・災害医療運営協議会の災害医療体制検討部会に提示。筑波大附属病院でも6日、病院職員や救急医らが災害対策マニュアルなどをテーマに講演した。いずれも東日本大震災の教訓が盛り込まれた“実戦型”となっており、紋切り型の傾向が強い災害医療体制のあり方に一石を投じている。【新井哉】
「医療・介護スタッフが自分の身を守って、そして助けながら、もう一度災害の後、プロとして働こうということを考えながらマニュアルを作ってほしい」。12日に開かれた日医の記者会見で、救急・災害医療分野を担当する石井正三常任理事は、津波災害時の避難確保計画の手引きの意義について、こう強調した。
東日本大震災が起きた2011年3月11日。東北地方の沿岸部の医療機関では、入院患者に加え、医療スタッフも少なからず津波に飲み込まれ、帰らぬ人となった。こうした悲劇を繰り返さないため、日医は東日本大震災や過去に洪水が起きた被災地を視察するとともに、国土交通省と協議を重ねて医療機関向けの手引きを策定した。
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