大腸用のカプセル内視鏡が今年1月、保険適用になった。小腸用に限定されていた適用範囲が広がった形だが、これに伴い、画像を読影する医師の負担増が懸念されている。こうした中、日本カプセル内視鏡学会(JACE)は昨年春、医師以外の医療専門職を対象とした「読影支援技師」の養成に乗り出した。今年夏にも、最初の認定者が決まる見通しで、利用拡大のカギを握る新たな制度として注目を集めている。【敦賀陽平】
カプセル内視鏡は長さ約3センチ、幅約1センチ。従来の内視鏡検査と異なり、処置や治療はできないものの、体への侵襲が小さいのが最大の特徴だ。電子レンジなど、強い電磁波を発するものに近づけないよう注意が必要だが、検査中、医療機関を離れて仕事をすることもできる。2003年に日本に上陸し、医療機関での臨床試験を経て、07年秋に小腸用が保険適用になった。
いったん飲み込むと、カプセルは消化管のぜん動によって腸内を突き進む。小腸用の場合、前方のカメラが毎秒2回、画像を撮影し、データは腹部に張られたアンテナを通じて、対象者が装着する小型レコーダー(記録装置)に送られる。施設によって異なるが、検査は通常8-10時間ほど。使用したカプセルは、最終的に肛門から排出される。
消化管に狭窄がある場合、カプセル内視鏡が消化管を通らない可能性がある。このため当初、保険適用は、上・下部の内視鏡検査で原因が分からない消化管出血に限定されていた。だが2年前、「パテンシーカプセル」と呼ばれる溶解性のカプセルが保険適用になり、その対象が一気に広がった。
パテンシーカプセルは、飲み込んでから通常200時間以内に解ける上、体内のどの位置にあるのか、エックス線検査で確認することも可能だ。このため狭窄が疑われる場合でも、このカプセルによる事前検査で担当医が、「開通性がある」と診断すれば、その後の検査にも保険が利くようになった。
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