2014年度の診療報酬改定で、在宅医療に深刻なダメージが及びかねないと懸念する声が広がっている。介護施設や集合住宅の同じ建物に入居する患者を1日に複数訪問する場合、医療機関への診療報酬が大幅に引き下げられるためだ。入居者を囲い込むような“不適切な事例”を閉め出す狙い。詳しい運用は3月上旬以降明らかになるが、在宅医療を行う医療機関の多くが算定する診療報酬が見直しの対象になるとあって、それを待たずに新規参入やスタッフの増員を見送るケースも出ている。【烏美紀子、多だ正芳、敦賀陽平、兼松昭夫】
医療法人社団南星会(神奈川県藤沢市)が運営する「湘南なぎさ診療所」の中村哲生事務長は、中央社会保険医療協議会が2月中旬にまとめた診療報酬改定案を見て驚いた。「在宅時医学総合管理料」(在医総管)など、在宅医療に関連する診療報酬の大幅な引き下げが盛り込まれていたからだ。 在医総管は、通院が困難な在宅患者への定期的な訪問に対する診療報酬。現在は8通りの点数があり、患者1人当たり1か月に最大5300点を算定できる。これに対して見直し後は、一戸建て住宅を訪問するような場合は現在の報酬を維持する一方、介護施設や集合住宅などの同じ建物に住む患者を1日に複数訪問するなら、8つの区分ごとの点数をそれぞれ4分の1程度に下げる。
「同一日・同一建物」の複数訪問の点数がある程度、引き下げられることは中村氏も予想してはいたが、最大でも半減とみていた。「まさかこれほど下げるとは」。
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