疲弊する救急医療現場の“処方せん”となるのか―。厚生労働省は今月6日、救急医療体制等のあり方に関する検討会(座長=有賀徹・昭和大病院長)がまとめた報告書を公表した。精神疾患患者の対処方法をはじめ、ドクターヘリの広域運用体制の指針づくり、ドクターカーに対する支援の検討などを提言。また、医療機関の経営面に直結する問題も取り上げ、一定の機能を満たさない救命救急センターについては、「指定が妥当か否か、検討が必要」と指摘。指定取り消しも視野に入れた“退場勧告”導入の必要性にも言及している。【新井哉】
「救急搬送人員の約半数が、帰宅可能な軽症者」、「軽症と中等症の増加が著しい」―。報告書の冒頭には、現在の救急医療現場を取り巻く厳しい状況を列挙。特に、医師の関与が不可欠なメディカルコントロール(MC)体制については、救急救命士の業務拡大に伴い、「通常勤務における診療に加え、特定行為の指示や検証作業を行うため、総じて負担が増大している」と指摘。また、超高齢社会の進展で、「救急需要の増大による対応が迫られている」と危機感をあらわにしている。
昨年2月から12月まで計8回開かれた検討会では、委員同士が語気を強めて議論する場面もあった。例えば、指定取り消しを含めた救命救急センターについては、「きちっとした評価基準を設けて質を保証していくことはおおむね賛成」との意見が出る一方、「いきなり絞り込みで足切りにコンバートするのは時期尚早」と慎重な検討を求める意見も。さらに別の委員は「機能評価は難しすぎる。あまりにも合っていない」と“違和感”を訴えるなど、“百家争鳴”の感もあった。
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