2014年度の診療報酬改定では、入院医療の機能分化を一層推進させる。急性期では、一般病棟7対1入院基本料や特定集中治療室管理料、救急医療管理加算などの対象となる重症者の定義を厳しくする。平均在院日数の計算対象も「適正化」させ、医療機関側に患者を在宅復帰させる努力を促す。【佐藤貴彦、兼松昭夫】
2014年度診療報酬改定のポイント①-外来、在宅医療
2014年度診療報酬改定のポイント③-入院(地域包括ケア・回復期、有床診療所)
14年4月の消費税率引き上げに伴う医療機関の負担増を補てんするため、例えば一般病棟の7対1入院基本料は、現在の1566点に消費税対応分25点を上乗せして1591点に、10対1入院基本料(現在1311点)は21点を上乗せして1332点にする。
■A得点の基準は「10点中2点」から「8点中2点」に
7対1入院基本料の算定要件の厳格化は、重症患者の対象や平均在院日数の取り扱いの見直しと、新たな基準の追加が柱。運用までの準備期間としてそれぞれ経過措置を設けるものの、多くは10月から始まるため、それまでに病院機能の見直しを迫られるところも出てきそうだ。
一般病棟入院基本料や特定機能病院入院基本料(一般病棟)、専門病院入院基本料の7対1の現在の算定要件のうち、入院患者に占める重症者の割合自体は「15%以上」に据え置くが、救命救急入院料を算定する治療室が病院内にある場合のこの基準の免除規定や、がん専門病院でこの割合を「10%以上」に緩和する措置を廃止する。
また、現在の「重症度・看護必要度」は「重症度、医療・看護必要度」に名称を変更し、その測定に使う一般病棟用の評価票のうち、モニタリングや処置などの状況を評価するA得点の項目の一部を、急性期患者の特性に合わせて改める。
具体的には、「時間尿測定」と「血圧測定」を削除し、「呼吸ケア」の測定対象から、喀たん吸引のみの場合を除外。また、現在の「創傷処置」は褥瘡への処置と、それ以外の創傷処置に分けて、どちらかに当てはまれば評価する形にする。さらに、「専門的な治療・処置」の中に「麻薬の内服・貼付」などを加える。一連の見直しで、A得点の項目は現在の9項目から7項目に、総得点は10点から8点に減る。見直し後のA得点の項目は 表1=クリックで拡大= の通り。
重症者の定義は、A得点「2点以上」、患者の状況などを評価するB得点「3点以上」の両方を満たすこと。厚生労働省が実施した影響度のシミュレーションでは、新しい項目でこの基準をクリアできるのは、一般病棟7対1入院基本料の算定病院の56.5%にとどまった。
■短期滞在手術など21種類は日数カウントの対象外に
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