中央社会保険医療協議会(中医協)が、2014年度診療報酬改定案を田村憲久厚生労働相に答申しました。今回の改定では、入院、外来医療で医療機関の役割分担を明確にする一方、在宅医療では一層の機能強化とサービスの質担保に取り組みます。新点数は厚労省が3月上旬に官報告示することになっていて、原則4月から適用されます。今回の診療報酬改定の概要を3本の記事にまとめました。【兼松昭夫、佐藤貴彦】
2014年度診療報酬改定のポイント②-入院(急性期)
2014年度診療報酬改定のポイント③-入院(地域包括ケア・回復期、有床診療所)
■キーワードは「役割分担と連携」「在宅医療の充実」
14年度の診療報酬改定は、社会保障・税一体改革の中で政府が掲げる地域包括ケアシステムの構築に向けた2回目の見直しとなる。キーワードは「医療機関の機能分化・強化と連携」と「在宅医療の充実」だ。
外来では、大病院(許可病床500床以上)による一般外来を縮小させ、専門外来への特化を一層進める一方、中小病院(200床未満)や診療所による「主治医機能」を強化する。 在宅医療では、サービスの担い手となる医療機関を確保するとともに、緊急往診や在宅看取りの実績を重視し、サービスの質向上につなげる。
入院医療の見直しは、7対1入院基本料の削減が最大の焦点で、これに合わせて高度急性期・急性期の対象患者を絞り込んだり、回復期をカバーする病院などとの連携に道筋を付けたりする。急性期から慢性期に至るステージごとの診療報酬に、在宅復帰率の要件を盛り込んだ点も特徴だ。
さらに、現在は急性期病院のみに限られているデータ提出加算の届け出を、全医療機関に認める。急性期病院に限らず多様な医療機関の機能を適切に分析できるようにするためで、厚労省では「(診療報酬の)額は小さいが、将来に向けて方向性を示した」としている。
社会保障・税一体改革の中で掲げる25年の医療のイメージでは、「高度急性期」約18万床、「一般急性期」約35万床、「亜急性期等」約26万床、「長期療養」約28万床などとされており、引き続き診療報酬改定のたびに少しずつこの形に近づける。
■消費増税分、初診料12点、再診料3点引き上げ
消費税率を4月以降、8%に引き上げるのに伴う医療機関の負担増を補てんするため、初診料(現在270点)を12点、再診料(69点)と外来診療料(70点)を3点ずつそれぞれ引き上げる。これにより4月以降、初診料は282点、再診料は72点、外来診療料は73点になる= 表1 =。
(残り4689字 / 全5740字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】