非常勤のみで働く病院産婦人科医が増えている-。そんな傾向が、日本産婦人科医会が実施した調査で明らかになった。調査によると、非常勤のみで働く医師は30歳代の女性に多く、同会は、出産が「常勤離れ」のきっかけになっていると分析。産婦人科医には女性が多いことから、このままでは実働する医師の減少は避けられないと、危機感を募らせている。同会の常務理事で、日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)で産婦人科医を束ねる中井章人・同病院副院長に、女性医師の勤務継続を支援する際の3つのポイントを聞いた。【佐藤貴彦】
同会は2007年から、分娩取り扱い病院のアンケート調査を実施。12年から、常勤先を持たない非常勤医師数を調べている。昨年は、そうした医師数(延べ人数)が、男性は240人、女性は353人だった。常勤先を持ちながら非常勤でも働く医師を含めた非常勤医師全体のうち、常勤先を持たない医師の割合は、男性が20.3%、女性が42.0%。この割合は前年と比べ、それぞれ6.1ポイントと6.4ポイント増えており、産婦人科医の「常勤離れ」の傾向が強まっていることが示唆された。
さらに、非常勤のみで働く医師の年齢層を調べると、男性では30歳代や60歳代が多かったのに対し、女性は半数以上が30歳代で、40歳代や20歳代も多かった。調査結果をまとめた中井氏は、「定年して非常勤になるのは、よくある話です。また30歳代では、大学院に通いながら、非常勤で働くケースもあると思います」と説明した上で、一定数の女性医師が非常勤のみで働く背景には、出産を機に常勤を辞め、子育てを終えても常勤に戻れない勤務環境があるのではないかと指摘する。
日本産婦人科医会は今年、産科か婦人科を標榜するすべての医療機関を対象とする調査で、非常勤のみで働く医師の「全体像」を明らかにする考えだ。
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