2014年度診療報酬改定に伴うDPC関連の見直しの具体案がまとまりました。機能評価係数Ⅱの取り扱いやDPCの算定ルール見直しなど、中には経営に直結しそうな変更も含まれます。中央社会保険医療協議会(中医協)によるこれまでの審議をまとめました。【兼松昭夫】
DPC対象病院に対する診療報酬の取り扱いは、4年後の18年に大きな節目を迎える。従来の「調整係数」の段階的な見直しがこの年の診療報酬改定で完了するためで、現在はそれまでの過渡期にある。
調整係数は、DPC対象病院ごとに前年度並みの収入を保証する仕組み。DPC制度に参入したことで病院経営が悪化するのを防ぐため、制度創設当初に導入されたが、この係数がカバーしてきた役割のうち「医療の質向上を促すための評価」(上積み分)は、12-18年度の4回の診療報酬改定で、「機能評価係数Ⅱ」に段階的に置き換えることになっている。
12年度の前回改定では、DPC対象病院を診療実績に応じてDPC病院Ⅰ群、Ⅱ群、Ⅲ群の3つに分類し、これらのグループごとに1つずつ「基礎係数」が設定された。調整係数が担ってきた「基本的な診療機能を評価する仕組み」は、上積み分の置き換えが完了する18年度以降、この基礎係数に引き継がれる。
一連の見直しは、DPC対象病院の機能に合わせて評価できるようにするのが狙いだ。包括部分の診療報酬を決める「医療機関別係数」は、置き換えが完了するまでは、基礎係数や機能評価係数Ⅱなどのほか、置き換え分を差し引いた「暫定調整係数」で決める。
中医協総会が今月22日に固めたDPC関連の具体的な対応案によると、14年度の診療報酬改定では、暫定調整係数の25%(12年度改定前の調整係数ベース)を機能評価係数Ⅱに移行させる。12年度にも同じく25%が置き換わっており、全体での置き換え割合は今回、ちょうど半分になる= 図 =。
調整係数がDPC対象病院の収入をいわば無条件に底上げする仕組みなのに対し、機能評価係数Ⅱは、地域医療への貢献など各病院の実績によって評価が決まる。医療機関別係数に占める機能評価係数Ⅱのウエートは、調整係数の置き換えが進むほど高まるため、ここでどれだけの評価を確保できるかが一層重要になる。
■Ⅱ群要件の手術件数は「年間2680症例以上」に
DPC対象病院のグループは13年4月現在、Ⅰ群が大学病院本院の80病院、Ⅱ群がⅠ群並みの診療機能を持つ90病院、Ⅲ群がそれら以外の1326病院だが、14年度の改定でⅡ群とⅢ群の病院が入れ替わるケースが出る可能性もある。基礎係数だけを見ると、Ⅲ群よりもⅡ群の方が有利な設定なだけに、病院現場の関心が高い。
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