「7対1入院基本料を算定する35万から36万の病床は多分、半分くらいになる」。
今月9日、記者会見を開いた日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は、今年4月に予定される2014年度診療報酬改定が医療界に及ぼす影響を、こんなふうに予測した。「激震」とも言える7対1入院基本料を算定する病院(以下、7対1)への厳しい締め付けは、救急医療や慢性期医療の在り方をどう変えるのか。廃止方針の撤廃がささやかれ始めた介護療養型医療施設の未来は―。中央社会保険医療協議会(中医協)や、社会保障審議会介護給付費分科会などの委員も務め、医療界屈指の発信力で知られる武久会長に話を聞いた。【聞き手・ただ正芳】
そうですね。7対1のうち国公立の病院では、1年の経過措置が終わった後に転換の動きが本格化するでしょう。一方、民間病院では、経過措置の終了を待たず、転換が本格化するはず。そして改定から2年以内で、7対1は現在の半分程度になると予想しています。 -すさまじいほどの変化ですね。
それだけ、今回の改定における7対1への締め付けは厳しいのです。例えば、「短期間に退院できる手術(4泊5日以内)や検査(3日以内)の対象患者を、平均在院日数のカウントから除外」と、「7対1と10対1の特定除外制度を廃止し、長期入院患者の取り扱いを13対1、15対1と同じ形にする」の2つの変更は、「平均在院日数18日以内」を実現する上で、恐ろしく高いハードルとなります。 -確かにそうですね。「平均在院日数18日以内」の実現を思えば、今回の変更は、最も有利な要件を外し、逆に、最も不利な要件を加えてきたとも言えそうです。
それだけではありません。重症患者の割合に関する評価項目については、「時間尿測定」や「血圧測定」などを除外したり、「創傷処置」の項目を「褥瘡への処置」と「それ以外の処置」の項目に分けたりするなどの方針が固まっています。この変更だけでも、7対1の算定要件の基準をクリアできる病院は、約半分まで減るともいわれています。
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