国が指定する研修を修了した看護師は、医師や歯科医師の指示の下で高度な技能などを伴う「特定行為」を行うことができるようになる見通し。看護師の業務拡大に向けた大きな一歩だが、米国ではその先を行き、診療の補助だけでなく、診断や診察、薬剤の処方なども行うナースプラクティショナー(NP)が多く活躍している。米スタンフォード大学病院で、指導医としてNPと共に救命救急医療などに携わる御手洗剛氏にNPの現状や影響などを聞いた。【聞き手・松村秀士】
―米国のNP事情を教えてください。
米国では、地域医療における深刻な医師不足を受けて1965年に最初のNPトレーニングプログラムができました。当初こそバラつきのあったこのプログラムは、やがて制度化され、現在はRN(正看護師)の資格を取得してから数年間、看護師として臨床経験を積み、大学院の修士課程(2年)か博士課程(6年)でNPのトレーニングを受ける形になりました。
最近は、博士課程のように研究に重きを置かず、将来の教育者の育成や、複雑化する医療現場でより高度な臨床能力やリーダーシップを発揮する人材の育成を目的とした「Doctors for Nurse Practitioners」というプログラムが修士課程に代わるものとして増えています。以前は少なかったNPトレーニングプログラムの専門分野は現在、新生児科や小児科、婦人科、精神科、腫瘍内科、家庭医療、高齢者医療、急性期医療などと多岐にわたります。
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