厚生労働省の先進医療会議は16日、2014年度診療報酬改定で、肥満患者に対する「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」など先進医療8技術の保険適用を中央社会保険医療協議会総会に提案することを了承した。安倍内閣の成長戦略の柱とされる「医療の国際展開」で注目を集める「粒子線治療」は、陽子線、重粒子線とも先進医療を継続し、16年度改定での保険適用を目指す。【医療・医薬ライター 半田良太】
保険適用を提案する8技術のうち、13年6月末までの1年間に先進医療の費用が最もかさんだのは、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術。体格指数(BMI)が35以上の高度肥満患者の食物摂取を抑えるために、腹腔鏡下で胃を部分切除するものだ。委員からは、「内科的アプローチを十分行った上で、外科手術に移行すべき」と、安易な保険適用にクギを刺される場面もあった。腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は65件、保険診療を除く先進医療の総額は約2800万円だった。
同日の会合では粒子線治療の保険適用も審議した。12年度の改定に向けた議論で費用対効果の検証を求められていたが、今回も効果面での検証が不十分と判断し、先進医療に据え置いた。委員からは、「粒子線でないと改善しない“レアなケース”に絞ってやってほしい」との要望があり、対象疾患を現行の固形がんから、「小児の髄芽腫(脳腫瘍)」(陽子線)、「骨軟部がん」(重粒子線)などに絞ってエビデンスを集積し、16年度の保険適用を目指すことになった。
〈保険診療を提案する8技術〉
難治性眼疾患に対する羊膜移植術▽腹腔鏡下子宮体がん根治手術▽歯科用CAD・CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴▽腹腔鏡下スリーブ状胃切除術▽光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助▽内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術▽胸腔鏡下動脈管開存症手術▽エックス線CT画像診断に基づく手術用顕微鏡を用いた歯根端切除手術
〈先進医療からの除外を提案する5技術〉
造血器腫瘍細胞における薬剤耐性遺伝子産物P糖蛋白の測定▽膝靭帯再建手術における画像支援ナビゲーション▽Q熱診断における血清抗体価測定および病原体遺伝子検査▽セメント固定人工股関節再置換術におけるコンピュータ支援フルオロナビゲーションを用いたセメント除去術▽ミトコンドリア病の遺伝子診断
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