2014年度の診療報酬改定は、4月の消費税率8％への引き上げに伴い、医療機関の負担が増えないよう、通常の報酬改定と同時に消費増税への対応がなされた点に特徴があった。そのため、昨年12月20日の改定率決定に合わせて、各メディアの報道では「実質の改定率」「通常の改定率」など、さまざまな言葉と数字が飛び交い、これまでと比べて分かりにくい決着となった。今後の報酬改定の議論を理解するため、今回の改定率の詳細やその決定の背景を解説する。【丸山紀一朗】

　厚生労働省は、全体の改定率をプラス0.10％（表中の③＝E）と発表。また、医師の人件費などに当たる診療報酬本体はプラス0.73％（同①）とした。ただし、この0.73％は、消費増税対応分のプラス0.63％を含んでおり、これを除くと本体の実質改定率はプラス0.10％（同A）。一方、薬価・材料価格はマイナス0.63％（同②）と発表されたが、消費増税対応分のプラス0.73％を除くと、実質改定率はマイナス1.36％（同B）。本体と薬価等の実質改定率を合わせると、診療報酬全体で実質マイナス1.26％（同C）の改定率だった。この「実質マイナス、名目プラス」とも言えるような改定率は、医療費抑制のためマイナス改定を求めた首相官邸や財務省と、プラス改定を求めた厚労省、自民党厚労関係議員、医療機関、それぞれのメンツを保つ落としどころだった。

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