移動型の医療サービスを提供できるドクターカーが国内外で注目を集めている。アフリカの無医村地域でドクターカーを巡回診療に使う動きが出てきたほか、日本国内でも今年1月下旬から、これまでドクターカーの需要がほとんどないとみられていた中山間地域で試験運用が始まる見通しだ。国内だけでなく海外まで活躍の場を広げつつあるドクターカー。新たな時代を切り開く取り組みを紹介する。【新井哉】
過疎地域の無医村巡回で、移動型の医療サービスの効果が実証された―。アフリカ北東部のスーダンで、日本の企業やNPO法人が2013年に現地調査や実証試験を実施し、64日間で53か所の無医村をドクターカーで訪れ、1万564人の患者を診察。糖尿病や高血圧だけでなく、マラリアなどの早期発見に役立ったという。
スーダン全土で無医村巡回を行う場合、100台ほどのドクターカーが必要になるとの試算もあり、日本の外務省もODAによる支援を視野に入れている。今回のプロジェクトの関係者は、今後、現地に展開する日本版ドクターカーの“開発アドバイザー”として、小型ドクターカー考案者の二宮宣文医師(日本医科大多摩永山病院救命救急センター特任教授)に白羽の矢を立てた。
「海外の災害医療の現場で得た教訓や、過去に出場した国際的なラリー大会の経験を生かしたい」。二宮医師は、ワンボックスタイプの車にベッド2床や医薬品などの収納庫、ワクチンが入る冷蔵庫のレイアウトを作成した。この時参考にしたのは、軽自動車をベースに二宮医師が開発に携わった小型ドクターカーだった。
(残り1420字 / 全2094字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】