「ここで何か抜本的な手を打たなければ完全に崩壊してしまう」-。谷垣禎一法相の私的諮問機関「矯正医療の在り方に関する有識者検討会」(座長=金澤一郎・国際医療福祉大大学院長)は、このような強い危機意識の下、2013年7月から先月19日まで計4回開催された。刑務所や少年院など矯正施設の常勤医師は年々減少し、13年4月1日現在、定員332人のところ260人にとどまっている。検討会は、定員の8割に満たない現状を変えようと、他の医療機関との兼業を広く認め、定年を引き上げるなどの対策を盛り込んだ報告書を今月中にまとめ、谷垣法相に提言する。【丸山紀一朗】
法務省によると、「刑事収容施設および被収容者などの処遇に関する法律」などには、強制的に身柄を収容する国の責任として、社会の一般水準の医療を提供することが定められている。常勤医を置く必要があるのは全国の刑務所、医療刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所など計163施設。これらに勤める医師は「矯正医官」と呼ばれる国家公務員で、収容されている人の診察、治療、健康管理などを行う。
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