今年の干支は午(うま)。意外かもしれないが、患者のリハビリテーションやセラピー、それにスタッフの研修などの場で馬は活躍しており、医療とは、まさに「馬が合う」存在のようだ。年の初めに、医療機関で活躍する馬を紹介する。【佐藤貴彦】
千葉市若葉区にある療養型の総泉病院(353床)では、病室でのアロマセラピーや、2000坪の敷地内庭園を生かした森林療法など、独自の取り組みを積極的に実施。本物の馬を活用した乗馬療法(ホースセラピー)も、年1回程度のペースで行っている。
「馬にまたがると股関節が開いて、自分の足で歩くためのリハビリになるそうです。動物と触れることによる癒やしの効果も期待しました」と導入の経緯を明かすのは、総泉病院がホースセラピーを取り入れた時からセラピーを担当する中島恵美子看護部長だ。
同病院がホースセラピーを始めたのは5年ほど前。入院患者の家族が、千葉県内で高齢者らのホースセラピーを手掛ける「サイトウ乗馬苑」(同県成田市)との間を取り持ったのがきっかけだった。患者家族は、乗馬苑のホースセラピーで、参加する患者をサポートするボランティアをしており、総泉病院の庭を見て、馬を連れて来たらどうかと提案したのだ。
患者家族から話を聞いた当時の髙野喜久雄院長(現名誉院長)は、入院患者へのセラピーを即決。そのころから看護部長を務めていた中島さんは、院内の調整を任された。乗馬苑からは、座位が取れる患者であれば馬に乗ることができると聞いたが、入院患者の平均年齢は80歳以上。無理にまたがって、骨折したら大変だ。中島さんは、患者から乗馬の希望を募るほか、リハビリテーションを担当するスタッフに患者の身体機能の状態を聞いたり、ほかのスタッフと協力して家族の同意を得たりして、安全に進めるための準備を進めていった。
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